ヘッドライト早期点灯研究所

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2017年02月27日

子どもの交通事故の現状

 

「ヘッドライト早期点灯研究所」は、早期点灯の実施に役立つ情報の調査を行うチームです。今回は夕方の交通安全にも関わり深い、子どもの交通安全をテーマにカーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子さんに調査してもらいました。

子どもの交通事故の現状

玄関から「行ってきます!」と出かけた子どもが、なにごともなく元気に「ただいま!」と帰ってきてくれること。それが、親としてなによりも強く願うことではないでしょうか。そのために、幼い頃から交通ルールをしっかり教えたり、一緒にいる時は常に安全に気を配って、子どもの身を守る努力をしていると思います。そして個々の家庭だけでなく、通学時間帯に通学路を車両侵入禁止としたり、速度制限を低くしたり、子どもの道路横断時に大人が立ち会ったりと、街や学校など地域ぐるみでのさまざまな事故防止策がとられています。

ところが、それにも関わらず、子どもの交通事故はなくなりません。交通事故総合分析センターがまとめた平成27年の「子供の歩行中の交通事故」のデータを見てみると、5歳刻みの年齢別で、歩行中の交通事故死傷者数が最も多いのが5歳~9歳の子どもだったのです。中でも7歳児の死傷者数は約1400人。成人になると約600人、65歳以上では約800人で推移しており、すべての年齢と比較しても7歳児が突出して多いことがわかります。これは、過去5年間のデータでも同様の傾向で、一過性のものではないと言えます。

その理由として同センターでは、6歳からは小学校の登下校がはじまり、それ以外にも子どもだけで歩行・行動する機会が増えることを、通行目的別の死傷者数データから分析。子どもの歩行中の交通事故の多くが、平日の日中に発生しており、とくに7歳児の交通事故の73%が日中、薄暮時の20%を合わせると93%にのぼることも、それを裏付けています。また、男児の死傷者数が女児の約2倍となっているだけではなく、内閣府の調査研究では、子どもの交通事故の多くが、自宅から半径1km圏内で発生していることも明らかになっています。

では、これを防ぐためにはどうしたらよいのでしょう。子どもの交通安全教育をさらに徹底し、危険な行動をとらないよう交通ルールをしっかり守らせることでしょうか。もちろん、それは大切です。でも、私はそれだけではないと考えます。

というのは、東京都で起きた平成27年の「歩行者の交通人身事故発生状況」を見てみると、状況としては道路横断中の事故が最多。中には無理な横断や信号無視、酩酊や徘徊といった歩行者側の交通ルール違反もありますが、最も亡くなった人が多いのは、しっかり交通ルールを守って歩行していた人たちだったのです。つまり、クルマやバイクなどを運転する側のミスが原因で命を落としているということです。

こどもとドライバー、それぞれに出来る「おもいやり」で事故防止!

交通ルールを幼い頃から教育し、徹底して守らせれば交通事故には遭わない、というのは残念ながら間違いなのです。信号が青になったら横断歩行を渡る、ではなく、信号が青になったら、クルマが来ていないかどうか自分の目で確認してから渡る。来ていたら、そのドライバーがちゃんと自分のことを認識しているかどうか、止まっているかどうかを確認してから渡る。これが、正解です。警視庁でも「なくそう子どもの交通事故」として、そうした呼びかけをはじめており、ほかにも子どもはお母さんの後を追う習性があることや、道路やクルマのそばで絶対に遊ばないこと、道路に飛び出さないことなども防止策として挙げています。

それに加えて、私はドライバーは早めにヘッドライトをつけて歩行者にクルマが来ている事をアピールする事や、子どもの服装や持ち物にひと工夫するだけでも、事故防止に効果があると考えます。私が子どもの頃は、大きな道路の横断歩道には旗が設置してあり、横断する時はその旗を高くあげて渡っていたものでした。帽子をかぶり、その帽子には黄色など目立つ色のバッジを付け、「ここに子どもがいますよ」とアピール。小学1年生がランドセルに黄色いカバーをする習慣は、今でも続いているようですが、思えばそうした工夫のおかげで、危険な状況を回避できていたことも多かったのではないでしょうか。

明るい色や反射材は相手に自分を知らせる「おもいやり」!

今では、横断歩道に旗が設置してあるところはほとんど見なくなてしまいました。でも、横断する時に手を高く挙げるだけでも、ドライバーの視界に入りやすくなります。近ごろは、ミニバンなど、運転席の場所が高いクルマが多くなっており、そうしたクルマは遠くを見ることは得意ですが、クルマのすぐ近くや真下は見えにくいものです。身長が低く小さな子どもは、クルマの死角に入ってしまいがち。帽子のてっぺんにポンポンがついているだけでも、その存在のアピール度は高まると思います。そして視界が悪くなる雨の日には、なるべく目立つ色の傘を持たせ、カラフルな長靴やレインコートを子どもに着せてあげたいものです。

また、事故発生率が高まる薄暮時から夜にかけては、クルマのライトに当たるとキラリと光る「反射材(リフレクター)」が効果的。自転車に付けている人は多くなりましたが、洋服や持ち物にも積極的につけることをオススメします。近ごろは、子どもが好きなキャラクターグッズショップなどで、かわいい形のものもたくさん売られています。キーホルダータイプが主流ですが、腕などに巻き付けられるタイプや、ファスナーのジッププルに付け替えられるタイプなども。ここで注意したいのは、子どもの正面だけでなく、横や後ろから見える位置に付けることです。歩行中の事故は交差点内で起こることが多く、横断歩道を渡っている時に左右から進入してきたクルマと接触してしまうケースがほとんど。横断中の歩行者が見えていない、気づいていないドライバーや、信号の変わり目で急いで曲がってきたクルマに対しても、キラリと光る反射材がハッと注意を惹くはずです。

さらに、親が子どもと一緒に歩く時には、自身の服装にもひと工夫すると効果的です。内閣府によると、夜間、クルマのヘッドライトを下向きにした状態で運転者が歩行者を視認できる距離として、白や黄色など明るい色の服を着た人が約38〜50m程度なのに対し、紺や黒などの黒っぽい色は約26〜30m程度とされています。速度が60km/hのクルマでも1秒間に17mも進んでしまうことを考えると、ドライバーが歩行者に気づくのが1秒遅れただけで、明るい色の服より黒っぽい服の方が事故につながる危険性が高まってしまうことに。寒い時期はとくに、黒いコートを着てしまいがちですが、なるべく白や黄色を身につけたいものです。ただ、反射材をつけていると黒い服でも約60〜130m先から見えることが確認されており、子どもだけでなく大人も反射材を活用することで、事故防止効果を高めることができます。

子どもも親も、交通ルールを守るだけでなく、プラスαの安全確認と、存在をアピールして自分の身を守る工夫をすることで、悲しい事故は必ず減らせるはず。そしてもちろん、自分がドライバーになった時は、反射材の代わりにヘッドライトを光らせて、歩行者や他の車両へ存在をアピール。とくに、昼間のトンネル内などや日陰が続く場所などは、自分が見えていても周囲からは見えにくいことを覚えておきましょう。歩行者も車両も、互いに自分を見てもらえるよう工夫し、車両は早めのヘッドライト点灯を心がけたいものです。


<プロフィール>
まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。
千葉県船橋市出身。映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。女性のパワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト(PWP)」代表。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦している。

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