トピックス

ニュース

2020年12月25日

TRY-LIGHT ONLINE フォーラム 新しい"交通安全運動"様式を考えよう!

おもいやりライト運動では、毎年11月10日を「いい点灯の日」として、歩道からヘッドライト点灯をドライバーに呼びかけるアクションを全国で実施しています。
これまでこの「いい点灯の日」前後の日程には、私たち事務局は全国の方々と共に、参加人数やヘッドライトの点灯率、呼びかけの技術や芸術性を競う≪TRY-LIGHT LIVE≫を行ってきました。

今年はwithコロナの時代。
新型コロナ感染症拡大の影響を考慮し、今年の「いい点灯の日」はソーシャルディスタンスの確保や消毒の徹底など、今ならではの手法を模索し、規模縮小ながらも各地の皆さんとアクションを実施しました。

その経験を踏まえ、これからの時代を考えたアクションの姿がどうあるべきか、おもいやりライト運動らしく安全に楽しく行える活動とは?を考えるフォーラムとして、12月18日に「TRY-LIGHT ONLINE フォーラム」を開催しました。

このフォーラムではオンラインで全国の皆さんとつながりながら、「新しい生活様式」に即した交通安全運動のかたちについて、さまざまなご意見をいただきました。

中継会場には、カーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子さんをコメンテーターとして招き、ソーシャルデザインプロデューサーの山名清隆、おもいやりライト運動事務局長の長谷川哲男、事務局メンバーも加わり、1年の活動の振り返りとともにこれからの交通安全運動のあり方について意見交換をしていきました。

録画データをご覧いただくことができます

コロナ禍で見えた交通安全運動の重要性!点灯呼びかけアクションをより意味のある活動に

最初は、おもいやりライト運動事務局ヘッドライト早期点灯研究所の井村より交通安全についての調査報告がありました。
コロナ禍で行ったWebアンケートで1,379名の方に意識調査をしたところ、緊急事態宣言発令期間中にはおよそ71.3%の方がクルマの利用を自粛しましたが、95.7%の方が「クルマが必要」と回答したとのことでした。それには「クルマ移動は他人との接触を抑えられるので安心」「通院時にマイカーの必要性を強く感じた」「荷物を買いだめする際に助かった」「いざというときの交通手段としてクルマは必要」など、コロナ禍特有の安全性の確保を求める動きが関係しているようでした。
一方で、期間中に気になったこととしては、「車両のスピードが上がった」「運転マナーの悪さが目立った」「運転スキルが気になった」という意見も見られました。2020年5月の交通事故の発生件数は、2019年の同月と比較すると40%減少しているものの、法令違反別死亡事故件数は、信号無視、最高速度、歩行者妨害等、運転操作不敵、安全速度などの項目で2019年を上回る数が発生していることも明らかになりました。(WEBアンケートについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています

この報告を受けてコメンテーターの皆さんは下記のようにコメント。

まるもさん:「緊急事態宣言が明けたあと、自動車を利用する方が増えた印象があります。不特定多数の人と接触を最低限に減らせるという意味で、運転に不慣れな方や、今まで公共交通機関を使っていた人も、クルマの必要性を感じて運転するようになっているのでしょう。全体的に交通事故は減っているかもしれませんが、これまでの事故の起こり方とはまた違うところに原因があるのではと感じました。」

長谷川:「事故の件数自体は減っていますが、実は死亡事故につながるような大きな事故は増えています。空いているからスピードを出してしまう。マスクをしていて相手の表情がわからず、歩行者とドライバーの間でコミュニケーションが取りにくい。などの原因もあるように感じます。」

山名:「私はオープンカーを運転していますが、マスクをつけて運転したとしても「そんな呑気にオープンカーに乗っていいのか」みたいな空気にだんだんなってきてしまいました。クルマに乗ることを楽しむカルチャーや、そのベースにある“人と接して楽しく過ごすこと”が危機に晒されている気がするんです。この時期をなんとか乗り越えて、交通安全運動も“楽しく”やる、クルマに“楽しく”乗るというのをどう守っていくかが大事だと思います。」

森(事務局):「おもいやりライト運動では、しっかり消毒をして衛生面に注意しながら行う方針を考えてきました。持つとソーシャルディスタンスを保てるような横断幕を作ったり、点灯呼びかけアクションを実施する際の事前準備から当日までに必要な対策をまとめたガイドラインを公開したりしました。」

コロナ禍の不安定な情勢の中で、新たに注意すべき交通安全の要素があること。そして安全に配慮しながら「楽しんでやる」というおもいやりライト運動の原点を再確認する時間となりました。

“交通安全”を掛け声に、全国を繋げよう!

第二部は、これまで点灯呼びかけアクションを行った全国の皆さんの一部の方とオンラインで対話しながら、今年一年の活動について振り返ります。北海道帯広市、山形県山形市、新潟県新潟市、新潟県出雲崎町、高知県室戸市、長崎県長崎市、鹿児島薩摩川内市の活動メンバーが参加してくれました!

コロナ禍の交通安全運動自粛の動きもあり、どの地域も今年前半は活動ができなかったようです。しかし緊急事態宣言が明け、11月10日の「いい点灯の日」に合わせて点灯呼びかけアクションを実施した地域もあり、各地からさまざまな報告が寄せられました。

参加チーム以外にも、福井県の鯖江市、福井市、長崎県の松浦市から実施報告があり、今年は全国9箇所で点灯呼びかけアクションを行うことができました。

・今年は運動が一回もできなかったが、昨年参加したことを思い出し、意識的にヘッドライトをつけるようになった。
・保育園、高校、大学のメンバーを巻き込み呼びかけることができた。
・交通少年団、高校生、会社員の方などたくさんの方と、人と人の間隔をあけて全長700〜800mもの距離で実施した。
・カットオフラインの影響で右から左に横断する歩行者の交通事故が非常に多いことも、ヘッドライト点灯の重要性と併せて伝えていきたい。
・県が発表したイベント実施の基準を守り、市民、警察、行政、学生、交通安全協会、地元企業で産官学民で行うことができた。
・コミュニティ協議会の交通安全のイルミネーション点灯式に合わせて呼びかけを行った。
・おもいやりライト運動は2年目なので、地域の方々にももっと広がったらいいなと思った。

などのコメントから、感染対策を十分に行いながら交通安全の呼びかけを続けていく強い姿勢が感じられ、会場のメンバーも興味津々。
山名は、「警察が主導でやるのではなく、人との繋がりの中で自主的に活動ができていることが素晴らしいと思いました。」とコメント。
まるもさんからは、「コロナだから活動をやめようとはならずに、皆んなが気持ちの火を消さなかったことが本当に素晴らしい。交通安全に対する理解がだんだん良いものになってくるんだろうなという希望が持てました。」とコメントをいただきました。

更に、YouTubeのチャット上では、
「ドライバーの方を振り向かせるのは得意ですよ!」
「意地でもヘッドライトを点けない方々にこそ笑顔で呼びかけましょー」
「懐かしいです、最初は恥ずかしくて、ヘッドライトをONしてくれたらみんなで拍手しましたね」
といったご自身の点灯呼びかけアクションを思い返しながらの感想も頂きました。

点灯呼びかけアクションは、コロナ禍においても前向きな気持ちで実践できるポジティブなアクションであることをオンラインでつながった全国各地の方と一緒に実感することができました。

これからの新しい“交通安全運動”様式をみんなで考える

第三部はこれからの新しい“交通安全運動”様式をみんなで考えていきます。
今年は、新型車のオートライトが義務化されたこともあり、より一層交通安全への意識が高まった年だったのではないでしょうか。しかしそれによって交通事故が全てなくなるわけではなく、これからも力を入れて交通安全運動を広めていく必要があります。
たとえば、オートライトに慣れてしまうと、ヘッドライトが点いているつもりで危険な運転をしてしまう可能性があります。雨が降っている暗い昼間のように、自動でライトが点かない危険なシチュエーションもあり、よりドライバーの行動が求められるのです。また、車種によってヘッドライトが点く時間が違うこと、海外のクルマより日本のクルマの方が点灯し始める時間が遅いことも指摘されています。交通社会が変化する中で、交通安全運動そのものも新しい時代に合わせて更新し、呼びかけていく必要がありそうです。

山名からは、「やがてくる新交通安全社会の解釈ポイント5」を紹介。
「車椅子やスクーターなどの多様なモビリティが登場し、道路空間だけでなく街自体も変わってくる。たとえば、交通事故の危険が考えられる場所には、歩行者側を照らすように街灯が工夫されるなど、新しい交通安全のシステムも生まれてくるはず。その中で、どのように多くの人が楽しくコミットメントしながら交通安全に取り組めるかにかかっている。」とコメントしました。

新潟大学からは、このおもいやりライト運動をきっかけに日産と共同で交通安全を研究している、トリトンプロジェクトが開発した高齢ドライバー向けの「ハンドルぐるぐる体操」を紹介。運転の前や、長時間運転した後にリフレッシュできる運動として、多くのテレビや新聞に取材を受けたそうです。ハンドルぐるぐる体操はこちらから

まるもさんからは、「#置きシュー」プロジェクトを紹介。車の中に1つ運転に適した靴を置いておき、安全な運転を心がける活動です。
「いざというときにヒールが引っかかってブレーキが踏めずに事故を起こす事例や、夏にサンダルで運転して怪我をしてしまう事例もあるので、よりしっかりかかとがつく靴を備えていただきたいです。全国の皆さんの報告にもありましたが、楽しみながら、結果的に交通安全につながるプロジェクトになればいいなと思っています。」とまるもさん。
全国から新しい交通安全への取り組みがこんなにも生まれているんですね!

最後に、事務局長の長谷川から、「集うことが難しい中で、こうしてオンラインで集まれたことを嬉しく思います。皆さんの活動に対する気持ち、優しさ、情熱が非常に伝わってきました。活動の中でいろんな工夫が凝らされ、それがどんどん派生していくのは素晴らしい。何よりも「楽しんでやる」ということが交通安全に繋がってくるということを信じています。」という締めのコメントで会は無事終了。
イベントの後は、引き続き各地とオンラインで繋がり意見交換を行いました。
「北海道から鹿児島まで活動が広がったので、点灯呼びかけアクションをしながら全国を回りたい!」
「おもいやりライトメンバーで合宿をしたい!」など、楽しい意見が飛び交いました。

今回のイベントはYoutubeでリアルタイムで配信されており、全国のおもいやりライトメンバーが温かいコメントをたくさん残してくれました。本当にありがとうございました。
また、今回の配信の録画をYouTubeでご覧頂く事ができますぜひご覧ください。

これからも、今出来る事を楽しみながら考えて、一緒に交通安全を作っていきましょう!

いかがでしたか?もしよければシェアして早期点灯の話題を広めてみませんか?

カテゴリ

最新トピックス

月別リスト

ライター別一覧

おすすめトピックス