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2015年04月07日

夕方安全創造会議2014ゲスト アクセンチュア市川博久さんインタビュー

 

「ソーシャルデザインで「交通安全」を変える!」と銘打って開催された昨年秋の夕方安全創造会議でのクロストーク。とても評判が良かったのです。トークを終えた後には「これは講義料とってもいいくらいでは??」というご意見まで飛び出す程に、集まってくださった方々の関心を集めていました。「まだまだ聞きたいことがたくさん」「登壇者の活動がもっと知りたい」という方のために、クロストークにご登壇くださったアクセンチュア株式会社の市川博久さんを訪ね、手がけているCSR活動やその想いについてお伺いしてきました。
(写真は左から坂本さん、市川さん、内田さん)

若者が希望を持てる社会に… 市川さんが始めたCSR活動

市川さんが社内公募に名乗りを挙げ、「若者の就業力・起業力強化チーム」のリーダーとしてCSR活動をスタートしたのは4年前。日本を取り巻く構造的な社会課題を見据え、若者の雇用をつくりながら、社会課題を解決していけるサイクルを生み出したいと、ニートやひきこもりの子ども達のために、社員が講師になってITスキル向上、および資格取得のための講座を開き、資格を修得した受講者に雇用のマッチングを行う活動をはじめたそう。活動は年を重ねるほどに拡大し、東北の若手起業家を中心に起業家支援を行い、クラウドファウンディングのサイト(チャレンジスター:http://www.challengestar.jp)をつくったり、横浜では地域の社会課題を可視化して、可視化された社会課題を解決しようと立ち上がった人・プロジェクトを市民が資金・スキル両面から支援できる仕組み作り(ローカルグッドヨコハマ:http://yokohama.localgood.jp)を手がけたりと大活躍しています。

「本業よりCSRのほうが大変。課題を課題たらしめている要因自体を見つけ出すことが、社会課題の難しさと言えます。本気でやればやる程、根深いのが分かる。」と、市川さんは語ります。このCSR活動への熱い想いはいったいどこから生まれてくるのでしょう?

若者に借金を負わせる社会に怒りを感じる

「僕自身、学生時代はドロップアウトしていたような人間で、学ぶ価値も見いだせなかったんです。もっと得意分野を引き出す教育のあり方だったら、違ったかもしれません。それに団塊世代の親が言っていた価値観はもう通用しない社会になっているのに、その価値観が根強く残っていることで、若い人が辛い想いをしている。そういう矛盾のようなもの、上の世代がつくりあげてきた社会や価値観に対する疑問や怒りが僕の根底にあります。」

そうした自らの体験から、社会を変えたいという想いを抱いていた市川さんは、アクセンチュア入社10年目で「やりたいことをやるためには、自分でつくるしかない」と、これまでなかったインフラアウトソーシング事業を社内に立ち上げ、事業を軌道に乗せることに邁進します。様々な追い風もあり、事業が安定しはじめた頃、これまでの仕事のやり方に疑問が湧いてきました。市川さんは「我々の事業は未来ある国内の若者の雇用を奪っているだけかもしれない、僕自身が疑問を感じていた団塊世代の親父達と、結局同じことをやっている」と、むなしさを感じはじめ、一時は退社を覚悟するほど思い悩んだそうです。また、その頃市川さんは若くしてガンを発症し、仕事を続けながら闘病生活を送る中で、仕事の仲間や家族の支えがあることを実感し、世界の見え方が変わったといいます。そうしたことから、「100人の芽を摘んでいるんでいるんだから、100人の芽を蒔く」のだと、考えを切り替えたのだそう。

企業の中で自分が働いている社会的な意味に何か疑問のようなものを抱えていたりする人は、世の中に数多く存在しているでしょう。市川さんももともとはそんな1人だったのだと思います。しかし、湧いてきた疑問をそのままにせず、解決策を自ら考え出して行動に移す道を選んだところが、人とは違うところです。

本業よりも学びが多いCSR活動。社内からの理解は巻き込み型でつくる

市川さんのCSR活動のプロジェクトメンバーでもある、アクセンチュアの坂本さん、内田さんは、「CSR活動に参加することで、いろいろな人と知り合え、社会の多様さを知るきっかけができるのが楽しいです。本業での仕事のスタイルを客観的に捉えるきっかけにもなり、学びが多くあります。」と話してくださいました。また市川さんからも、おもいやりライト運動の夕方安全創造会議に対し、「ファシリテーターを務めた方が素晴らしくて、刺激になりました。僕らのようなコンサルティングの人間では難しい、柔らかい場づくり、共感を生む伝え方が素晴らしかったです。」と感想をいただくなど、CSR活動を通じて受ける刺激が財産になり、本業にも良い影響を与えていることをお話しいただきました。

さて、順風満帆に見える市川さんのCSR活動ですが、実は身内でもある社内の人々から活動の理解を得るまでには、様々な苦労があったそう。最後に、どんなやり方でその困難を乗り越えてきたのかを教えていただきました。

「CSR活動を始めた4年前は、なにをやっているんだと社内で白い目で見られていました(笑)。まずは社内の身近な所に仲間をつくることですね。愚痴なんかもこぼしながら前進する力にしていく。それに同じような苦労をしている他社の人と出会える場を探すといいです。僕は「越境リーダーシップ」という会に参加しています。僕らなんて社内では変わり者ですが、僕らよりもさらにぶっとんでいる人がいるので、インスピレーションをもらえます。あとは、会社の上司を巻き込むことですね。上司に取組みを共有し、社外からも評価を受けていることを伝えることで、上司から活動を後押ししてもらえるようになります。これまでの社会や価値観を作ってきた上の世代も巻き込んで、神輿に乗せて担いでしまうくらいの勢いでやったほうがいい。変革の力がつよくなっていきますね。」

「自分の会社でおもいやりライト運動を広めたい」と思ってくださっている方、ぜひこの市川さんの体験を通じたアドバイスを参考にしていただければと思います。

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