ヘッドライト早期点灯研究所

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2018年09月06日

おもいやりライトタイムも体感!シミュレーターのご紹介

「ヘッドライト早期点灯研究所」は、早期点灯の実施に役立つ情報の調査を行うチームです。今回はおもいやりライトがおすすめしている「日の入り前のヘッドライト点灯」について、以前より様々な分野でご協力を頂いている北里大学 医療衛生学部 視覚機能療法学 准教授 川守田 拓志先生が開発されたシミュレーターについてご紹介します。

「○○しながら」は、視野が狭くなる。

歩いているとき、何かに気をとられて、ぶつかったことやつまずいたこと、ヒヤりとしたことはないでしょうか?もちろん、スマートフォンを見ながら歩く「歩きスマホ」や「ながらスマホ」、自動車や自転車を運転したりする「ながら運転」は、とても危険です。絶対やめましょう!でも、それだけではありません。友人と話しながら歩く、音楽を聴きながら歩く、看板を探しながら歩く、横目で子どもがしっかりとついてきているか確認しながら歩く、考え事をしながら歩く、これらは、脳が非常に高度な情報処理をしていて、何かを行いながら別なことをする「ながら行動」の一種と言えます。私たちは、注意を向けることで、大事なことを優先的に理解して、行動できるというすばらしい機能をもっている一方で、その注意を向けている以外のものに対しては、認識がおろそかになってしまいます。特に視野は、一時的に狭くなってしまうのです。この何かの作業をしているときの視野範囲を、有効視野と呼びます(学術的な定義や計測法は、いくつかあり、分野によって呼び名が違っていたりします)。見ている作業が複雑だったり、人込みや雑音の多い環境だったりすると、より狭くなることがわかっています。

> 有効視野についてはこちらの記事でもご紹介しています(新しいウィンドウで開きます)

また、この有効視野が狭くなる現象は、自動車の運転だけでなく、自転車の運転時、歩行者として歩いているときにも起こります。電車を降りてスマホで乗り換え路線をチェックする、エスカレータでSNSをチェックしてそのまま少しだけ歩く、信号待ちをしているときに携帯をチェックしていて青になったが切りが悪いので少しだけながらスマホを操作する、このような「少しながらスマホ」をやっていないでしょうか。一人一人の「少しながらスマホ」の積み重ねが、危険性を高めているのです。 
 さて、このような「ながら行動」は、危ないとわかっていても自分だけは事故が起こらない、やらないと思っているもので、他人や自分の子どもの歩きスマホは注意するのに、知らず知らずのうちに自分もやってしまっていることは珍しくありません。そこで百聞は一見にしかず。実際この有効視野の減少を体験するシミュレーターを、北里大学医療衛生学部、おもいやりライト運動事務局、ラッキーソフト社と作りました。

狭くなる有効視野を体感

このシミュレーターは、PC1台と約50インチの大型ディスプレイを3台置き、中心のディスプレイの前に立ちます。
ディスプレイに流れる映像には、横断歩道の向こう側に女性が立っていて、簡単な計算問題を出してきます。計算を回答している間に、左右のどちらから自動車がやってきます。その自動車に気がついたらボタンを押し、気付いた時の視野の角度を調べます。
状況に応じ、足し算などタスクの有無、昼間やおもいやりライトタイム(日の入りの30分前くらいの明るさ)や夜間、車の色と速度、ヘッドライトの有無、人混みの多さなどを調整することもできます。

有効視野が狭くなる実験結果も!

シミュレーターを使用した、有効視野の測定結果は、どうなったでしょうか。
①足し算をしない、人通りも少ないときの有効視野は、平均62度
②足し算をする、また人通りも多い時は、平均38度となりました
(石川桃子、見目美咲、齋藤颯大、渡邊愛弓、川守田拓志.北里大学医療衛生学部視覚機能療法学卒業論文、2017)。
つまり有効視野は、約24度も差が開きました。愛知工科大学の小塚教授の報告でも「ながらスマホ」をしているときは、視野が1/20(約10度)になっているとされ、今回の傾向と一致します。さらに、この有効視野は、小児や高齢者ではより大きく影響を受けることがわかっています。
このように何かをしているときの視野が狭くなってしまうことは理解していただけたと思います。それでは、私たちは一体何をすればいいでしょうか。それは、「ながら行動」による有効視野の減少を意識し、できるだけ「ながら行動」を減らすことです。そして、視野は一時的に狭くなっているので、少しでも気づかせやすくする仕組みを取り入れることが重要です。ドライバーは、日の入りよりも少し早めにヘッドライトを点灯すれば、対向車のドライバー、歩行者、お互い気づかせやすくすることができます。

こちらの図は眼科でよく行われる視野検査の結果ですが、明るい光ほど視野が広がるのです。これは有効視野も同じです。夕方は、暗くなりはじめているので、視野を広げるために日の入り前30分を目安にヘッドライトをつけましょう!
どうか交通事故が起こらないようおもいやりを持って早期ヘッドライトを点灯し、お気を付けてドライブあるいはウォーキングをお楽しみください。

実際に体験もできます!

さて、こちらのシミュレーターですが実際に体験することもできます。
詳しくはこちらの特設ページをご覧ください。
日常生活にとても密接な「ながら作業」。歩く時は気をつけましょう。そしてクルマの運転の際には周りに気付いてもらうための光として、早めのヘッドライト点灯を心掛けましょう◎

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