ヘッドライト早期点灯研究所

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2014年08月01日

フィンランド、早期昼間点灯と反射材レポート

 

日本で、夕暮れ時(日の入り30分前)にヘッドライトを点灯しているクルマは、わずか1割程度。 (おもいやりライト運動事務局調べ 詳細はこちら) しかし、夕暮れ時に全てのクルマがヘッドライトを点灯している国があるのです!

フィンランドなどの北欧諸国では、冬は日照時間が短く、終日薄暗いため、一日中ヘッドライトを点灯する昼間点灯を導入しています。日本はフィンランドに比べて緯度が低く、地理的環境の違い(日照時間が長い、建物等の影が短いなど)があるので、おもいやりライト運動では、日の入り30分前の点灯をおすすめしています。夕暮れ時の点灯と、昼間点灯の違いはありますが、参考になることがあるかもしれないと、遥々フィンランドまで取材に行ってきました。おもいやりライト運動初!海外訪問レポートです。

 

フィンランドでの交通安全に関して中心的組織LIIKENNETURVA(The Central Organization for Traffic Safety in Finland)のリサーチ部門トップJuha Valtonenさんにお話を伺ってきました。

― 何故、フィンランドでは昼間点灯が導入されたのですか? 

フィンランドは、冬の間は終日薄暗く、日照時間が短く、日の入りが早く、いつまでが昼で、いつからが夕暮れ時か分かりにくいのです。 
1970年代、昼間の明るいうちからヘッドライトを点灯すると視認性(見られやすさ)が高まり、交通事故防止につながるという研究が世界中で始まりました。フィンランドでは、1972年に田舎道で冬期のみの昼間点灯を導入し、1982年から夏期も実施するようになりました。1997年からは、都市部も含む全国で一年を通して昼間点灯が実施されるようになりました。

― 昼間点灯を導入した後、すぐにドライバーの方々はヘッドライトを点灯するようになったのですか?私は、フィンランドで全てのクルマがヘッドライトを点灯しているのを見て、ビックリしました。昼間点灯がここまで普及したのは何故ですか?  

昼間点灯を開始した当初は、点灯していないクルマもありました。しかし、現在ではデイライト機能が付いているクルマが普及し、運転開始と同時にヘッドライトが点灯するように設定されているので、意識しなくても点灯するようになったのです。

― 昼間点灯していない場合、罰則はあるのですか? 

昼間点灯は規則となっており、点灯しない場合は50ユーロ(日本円で約7000円)の罰金が科せられます。 

― LIIKENNETURVAが作成している交通規則をまとめたリーフレット(Traffic regulations in Finland)には、昼間点灯については書かれていませんね。罰則規定まである規則なのに何故ですか? 

昼間点灯が当たり前になったフィンランドでは、注意を促す必要がないのです。他に守ってもらいたいルール、注意して欲しいことがありますので、昼間点灯については省いているのです。 

― 日本で「早めにヘッドライトを点灯しましょう」と話すと、燃費が悪くなる、バッテリーを消耗するという方がいらっしゃいます。実際は、どうなのでしょうか? 

1970年代に、ガソリン消費による損出よりも、交通事故を防ぐ効果、メリットの方が上回っているという研究がありました。 
バッテリーに関しては、フィンランドは冬にマイナス30度にもなるような寒い国なので、消耗が激しく、他の国と比較することは難しいですね。

―  バッテリーの消耗が激しい環境で、日中からライトを点灯していても問題なくクルマを運転できるということは、日本で夕暮れ時にいつもより少し早めに点灯することで消耗率が上がるとしても、ほんのわずかで、ほとんど問題にならない程度
かもしれませんね。 

そうかもしれませんね。 

 

―  昼間点灯を導入してから、交通事故は減ったのですか? 

1970年以降のフィンランドでの交通事故件数をまとめたグラフ(右写真)からお分かりいただけるように、交通事故件数は減ってきています。ただし、スピード違反、飲酒運転、シートベルト着用など、様々な規制を設け、啓発活動を行っているので、昼間点灯だけの成果とは言えないのですが。 

―  反射材についても教えてください。フィンランドでは反射材グッズを身につけることが普及しているようですね。 

2004年からRoad traffic Law (道路交通法)により、歩行者は基本的に反射材の着用を義務付けられています。しかし、都会では3分の1、地方では3分の2の方々しか反射材を身につけていないのが現状で、啓発活動を行っています。罰則はないので、警察が取り締まることはできないのです。

―  自転車に乗る方も、反射材を着用すべきなのですか?

自転車自体には反射材が付いていないといけませんが、自転車に乗っている人が反射材を身につけなければならないという規制はありません。しかし、自転車から降りれば、自転車に乗る方も歩行者になりますので、反射材を身につけるよう勧めています。クルマのドライバーに関しても同様で、クルマから出ればドライバーも歩行者になりますので、反射材着用を勧めています。

 

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Valtonenさんにお話しを伺った後、ヘルシンキの街を歩いて観察してみました。 

ヘッドライト早期点灯は、迷惑ではない! 
おもいやりライト運動で実施した調査で、日本では、早めの時間にヘッドライトを点灯すると、対向車や歩行者がまぶしいと感じて迷惑かもしれないと思っている方が多くいることが分かりました。  
フィンランドで、まだ暗くなる前にヘッドライトがついている状況を、最初はまぶしいようにも感じましたが、全てのクルマが点灯している状況ではすぐに目が慣れて、まぶしいとは感じなくなりました。  
ライトが点灯されていると、駐車していて動かないクルマ(ライト点灯なし)なのか、一時停止中でいつ動きだすか注意すべきクルマ(ライト点灯)なのか、一瞬で判断でき、注意すべきクルマが分かりやすいというメリットも感じました。 

反射材をオシャレに

フィンランドを代表するファッションブランド、マリメッコで反射材のキーホルダーを売っていたり、アクセサリー店、お土産屋、デザイン博物館など様々なところで、色々なデザインの反射材が販売されていました。 
反射材をバックにつけたり、服にブローチのようにつけたり、ポケットからたらしたり、思い思いの方法で、アクセサリー感覚で反射材を身に付けている人を見かけました。 

みなさんも、オシャレに反射材グッズを身につけてみませんか?日本でも、グリミス(http://www.glimmis.jp/)などで素敵な反射材が購入できるようです。

「見られやすさ」を意識するおもいやり

フィンランドでは、ヘッドライト点灯や反射材着用を義務化して普及させていますが、日本には「おもいやり」という素敵なことばがあります。ドライバーは、歩行者から「見られやすい」ように早めにライトをつける。歩行者や自転車は、反射材グッズを身に付けたり、白、黄色などのドライバーから「見られやすい」服装を心掛ける。道路を共有するクルマ、自転車、歩行者がお互いをおもいやることで、交通事故を減らしていきたいですね。

この記事へのコメント

  
1
さとー さん(2015.03.18)

日本でも最近オシャレな反射材のキーホルダーをつけている人を見かけます。交通安全のためというとダサい感じがしましたが、オシャレに安全をこころがけることができるのですね。ファッションメーカーがもっと手軽に身につけられる反射材グッズを売り出してくれるといいなと思います。

  
2
小林幸三 さん(2015.04.19)

ぜひ、日本でも、今の、凄く実行力の有る、現政権の安倍内閣に

に、昼間からの、ライト、又は、スモールランプの点ける法律をつ

くり、今、年間4300人ぐらいの死者を1000人ぐらい減らして貰い

たいです。今の、政権ならやってくれるかも知れませんね。!!!

  
3
HH さん(2015.11.18)

メーカーも日本で販売する車にデイタイムランニングライトを率先して装備させるべきである。海外向けは全て装備しているのだから。

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